小和田駅(こわだ - えき)

小和田駅は静岡県浜松市天竜区にある無人駅である。アクセスにはJR飯田線を利用する他なく、駅の辺には何の施設もないことから周囲とは隔絶された地勢に位置している。その特殊なロケーションも相まって、秘境駅として一部のマニアの間では広く認知されており、観光目的でこの地を訪れる人も少なくない。

かつては駅の周辺にも集落があったが、佐久間ダムの建設に伴いその大部分が湖底へと沈み、また駅へ続く車道も同時に沈んだことから、現在のような陸の孤島と化した。2010年代までは人の居住があったようだが、2022年現在、この地で生活をする者は0となっている。それに伴い、純粋な生活でこの駅を利用する人はおらず、上述の通り現在では観光客が訪れるのみである。

今上天皇のご成婚の際には、皇后の旧姓と駅名が同表記であったことから、その幸せな話題にあやかろうとする人々が殺到し、一時賑わいを見せたという。この際にかつての水窪町では、駅で結婚式を挙げるカップルを募集し、実際に1組のカップルが実際に式を挙げている。この時の様子を収めた写真が現在でも駅舎に飾られている。

この場所の年表

1936年12月30日 三信鉄道株式会社によって開業
1943年8月1日 三信鉄道線が国有化され、鉄道省管轄の駅となる
1984年2月24日 無人駅となる
1987年4月1日 国鉄の民営化により、JR東海の駅となる
1993年6月6日 旧水窪町の主催で天皇の成婚にあやかった結婚式イベントが開催、約1000人以上がこの地に詰めかけた

主なランドマーク

駅舎

1933年に建てられた当時の姿をそのまま残す、木造の簡素な造りの駅舎。設備はごく最低限であり、数人が座れるベンチと時刻表や料金表、訪れた人々が自由に思いを綴ることのできる思い出ノートなどがある。中にはかつてこの場所で挙式された結婚式の様子が納められた写真も数点残されている。

無人駅であり、改札もない。外部と接続している出入り口は、手動の横開き式である。辺りを散策する人の為に玄関付近には無料でレンタル可能な杖や熊鈴も設置されている。

駅舎前のスーパーカブ

駅舎の入り口横に打ち捨てられたホンダのスーパーカブ。レトロな駅舎と相まって、まるで映画のセットのような雰囲気をより一層醸し出すのに一役買っている。このスーパーカブがいつここに捨てられたのか、誰がどのような用途で使用していたものなのかは今となっては何ら不明ではあるが、訪れたマニアの間では必ずと言って良いほど触れられる小和田のランドマーク的な存在と化している。

製茶工場の廃墟

駅舎から少し下った場所に佇む製茶工場の廃墟。廃墟にすぐ隣には作業場兼生活スペースだったと思われる建物も1軒残されている。

1993年のこの地で開催された結婚式イベントではこの施設が再利用されたという。中にはその時に使用されたと思われる遺留物も数多く残されている。建物は風呂やトイレ、待合室らしき場所など、施設としての最低限の設備が揃っている。

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