夏焼集落(なつやき - しゅうらく)

静岡県浜松市にある廃村。集落は絶壁にへばりつく様に構成されており、天空の集落の異名に相応しい。集落は2015年に最後の住人が離村して以降、無人の廃集落となってる。

その歴史は古く、集落は16世紀ごろに拓かれた。4月に焼畑を行ったため「夏焼」と名付けられたと伝わっている。周辺の集落のほとんどは、佐久間ダムの建設に伴い、湖底に沈んだが、夏焼集落は山の斜面にあったため、そのまま残された。

集落には数軒の家屋や神社が残されているが、近年まで住人がいたためか、全体的によく管理されており、朽ち果てた様子はあまり見受けられなかった。集落へのアクセスは夏焼第二隧道が唯一である。

この場所の年表

1595年頃 没落した知久氏の子とその従者が、熊谷氏の仲介によりこの地を譲り受け、夏焼集落を開郷したと伝わる
1857年 十分一税騒動。中泉代官所が、天竜川流域の73ヶ村の願いを無視して一方的に請負人を指名したため、村々は団結して反発し、百姓3000人余りが代官所まで押し寄せこの決定を覆させた
2015年 最後の住人が離村し、廃村となる

主なランドマーク

諏訪神社(水天宮)

夏焼集落には諏訪と水天宮が存在する。諏訪に関しては、諏訪湖が集落のすぐ近くを流れる天竜川の水系だからだと思われる。水天宮に関しても立地的に水害に晒される危険性の高い土地柄ゆえだと推察ができる。神社は比較的管理がされており2021年9月に取材班が訪れた際は、最近人が訪れたような形跡も見受けられた。佐久間ダムの建設に伴い沈んだ周辺の村で祀られていた祭神も、住民が離村する際に沈まずに存続したこの場所へ移されたという。

モノレール

ニッカリ製のモノラックというモノレールが集落全体に敷設されている。集落の路地はどこも急勾配であり、車や自転車を使用できる環境ではないため、人や物資の移動用に使用されたと思われる。しばらく稼働された様子はなく、これがいつ頃まで運用されていたのかは不明である。

集落中心地

集落の入り口からしばらく登った先にある集落の中心地。5~6軒ほどの民家が密集しており、そのさらに上へ登っていくと諏訪神社がある。廃村とは思えないほど綺麗な状態の民家が多く、稀に元住人の方々が訪れて管理を行っているようである。また、集落には、この中心地から少し離れた場所にも数軒の民家が見受けられた。

関連コンテンツ